火車 宮部みゆき 新しいページはコチラ
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− | + | 最後の最後も彼女は逃げる事を選んだ。日本の制度に彼女を助ける仕組みがなかったのだ。だから逃げて逃げて逃げまくった。そう言う事なのだろう。保はやはり気の毒な思いだった。しぃちゃんは日本の社会が作り出した悪魔に連れ去られた。そういうことを確認出来たのだと思った。それを目の当たりにした。それと同時に悪い事をしたと発した喬子の言葉の意味の広さを感じていた。殺さなくてもよかったのになのか、殺すしか無かったのか。自分からは語らない、彼女の意志の硬さに気が付いたから降参した。取り調べ室の様なところでみっちり聴かないと拉致があかない。碇さんや本間さんに喬子の想いをこの場で引き出してもらいたかったが、自分の油断がこの様な結果を招いてしまった。平たく言えば失敗だ。 | |