火車 宮部みゆき 新しいページはコチラ
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− | + | そう口にしていた。もっと早くに自己破産の事を知っていたら殺す必要も無かったそんな思いだ。ふざけている思考だ。まるで新城は私とは関係ありませんというような感触だ。そう新城はもう壊れていた。完全崩壊だ。人間の形をした鬼になっていた。火の車の運転を自由自在に操る。新城喬子の中に人の形は残っていない。この美しい顔からは想像し難いほど醜悪な思考回路を備え付けている。間合いをたっぷり取った保が聞く。 | |
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− | + | 「変わりましたね。新城さん。あなたそんな人じゃ無かったはずだ。悔い改める様な人だったはずなのに、それがどうして…」 | |
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− | + | 喬子が立ち上がった反動で座っていた椅子は倒れた。安定するまで何度か寝返りを打つかの様にのたうち回る椅子。椅子が止まりきる前につぎは駆け抜けていったさきのホールの出入り口にあったテーブルの角に喬子がぶつかった為、テーブルがグググとスライドした。碇と本間はレストランの入り口へとあらゆる障害を乗り越え | |
− | + | 直進した。速かった。パルクールのという街中の障害物を掻き分け駆け抜けていく競技の選手さながらの動きだった。保は一瞬のことで呆気にとられていた。 | |