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[[メインページ#書籍|書籍]]に戻る。 == '''概要''' == 1992年頃の日本。平成4年くらいか?そんな時代の話です。携帯はあったけど、まだ一般的ではないという感じです。インターネットもまだない感じですね。パソコンはあったと思います。WindowsではなくてNECの9801とかが出回っていたような感じですね。 バブル期でお金があるとこにはあったし、ないとこにも優雅な暮らしというものが見聞されて伝播されていた潮流がありました。 当たり前に車、テレビ、ゲーム、オーディオ、白物家電、オシャレな服、文房具を所有するような時代に右へ倣えで、欲望は渦巻く。 物語の主観は休職中の刑事となって展開されます。刑事には数年前に死別した妻がいて、二人のあいだには養子にとった男の子がいます。家を留守ガチにする主人公は家政夫の契約をしています。 ある日。亡き妻の兄の子供(妻の甥、作中では関係性をどう表現するのが正しいかわからないままになっている。)にあたる親戚が主人公宅に押しかけ、婚約者が居なくなった探して欲しいという。失踪する直前、彼女はクレジットカードを作ろうとして審査が通らないという事態を招いていた。 依頼を引き受けた主人公は調査にのりだすが、彼女の過去を遡っていくと、彼女は彼女ではないことが分かっていく。彼女は一体何者か?そして、本当の彼女の持ち主は今どうしているのか。 本当の彼女が陥った過去の自己破産とクレジットカード、サラ金問題が彼女自身を苦しめ、そして目をつけられ、利用されていく深刻な問題は、いつ誰に同じ事が起きてもおかしくない。そして日々何気なく使っている通信販売や個人設定や買い物の傾向、家族構成が伺い知れる商品の購入。情報不正に利用できる人間に標的にされる危険性。悪事に利用するための名簿になりえる現実。 知らない内に沼に放り込められてしまうことだってあるという社会的不備は今も健在で、このような状態からどういった悲しい物語が生まれるのか?知っておくべき現実と共に詳らかにされていく至極のミステリー。 === '''続き''' === 作品の最後はぶっつりと終わる。あとはもう分かるよねって感じです。だからこんな感じかなってことを書き留めてみようと思います。 時間なら、充分にある 新城喬子ーー その肩に今、保が手を置く。 喬子は、予想していなかった。あまりに突然のことで、身体中に何か分からない無数の反射が起きた。熱いヤカンに手が触れたときのようなそれだ。 振り返りぎょっとした目で喬子は保に視線を送る。瞬間、喬子は安堵した表情に戻るのが、少し離れたところにいた本間には分かった。保は警官とか刑事のような仕事をしているようには見えないからだろう。 「なんですか急に。人違い…」とそれくらいまで喬子が言葉を発した所で、保は遮るように言った。 「これ以上はもう先には行けない。終着点に辿り着いたんだ。貴方も僕も」 喬子は暫く保の顔を見て固まっていた。この言葉の意味を理解するには時間がかかったのだ。まさか、こんなところで唐突に終わりが来るとは思って居なかった。それくらい喬子には自信があった。まだまだ私は変わっていける。人生を好転させられる。ほんの少し平均値に近づけられる。ほんの少しだ。それくらい許されるはずだ。だから、目の前にいるこの男が何か支離滅裂な間違いを犯しているとしか思えない。その思考の外側に出られないでいた。その沈黙を破るように保は続けた。自分が言葉を発したタイミングで放たれた喬子の言葉尻を解釈して、言い方を改める方が早かった。保の思考は喬子の一つ先を歩いている。それくらい喬子は疲れていた。全てに。 「人違いじゃない。俺は貴方が誰だか分かって言っている。探し続けていたんだ。君を」 保は続ける。 「あんたは新城喬子だ。そして、少し前までは、関根彰子だった。違うかい。」 「あなた誰?」喬子は平静を装う最後の言葉になりかけていた。椅子をひいて立ち上がれる体勢を整える。 「俺は関根彰子さんの知り合いだ」保はテーブルの横の使われていなかった椅子をひいて座った。喬子は、あぁこの人は警察関係の人では無いんだと思うと、まだ何もかもが明らかにされている訳ではないのかも知れないと思った。そう思うと少し余裕を感じた。だが、一刻も早くこの場を離れたいという思いが強くなった。誰にも知られてはいけない事が多過ぎた。 「あんた、もう逃げられないぞ。俺の仲間が出入り口を見張ってる。」 このとき喬子は、いつでも立ち上がれる姿勢から緊張が解けた。椅子に深く腰がおりていく。逃げる事は出来ない。話を聞いて、目の前の男とその仲間にわからせないと解放されないのだと思った。目の前の男がどこまで知っているのか不安な気持ちになった。 ==商品リンク== :[https://amzn.to/3aBd2P6 火車] [[メインページ#書籍|書籍]]に戻る。
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